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暮らしてみたアメリカのこと。留守にしていた日本のこと。

私はお客様

「タバコを吸わない人で、暴力的じゃない人」

結婚したいからいい人紹介して下さいと知り合いが言ったので、好みを聞いたらこんな返事が返ってきた。才色兼備を地で行くような彼女にしてはずいぶん低い条件だけど、それが本心らしい。

ひとつ目を見極めるのは簡単だ。半日一緒に過ごしたら分かるし、「タバコ吸いますか?」と直接聞いてもいい。

ふたつ目は難しいかもしれない。例えば「暴力の兆候」と書いてネットで検索すると、いろいろなサイトが出てきて読んでゆくと暗澹としてくるが、肝心の見極め方についてはこれといったアドバイスは見当たらない。「酔いつぶれるまでお酒を飲ます」とか「車の運転を観察する」とかあって、確かに他の車に割り込まれたときの反応にひとの性格は出るかもしれないけれど、カッとなったからクロとは言えないだろうし、酒を飲まなくても暴力をふるう男は沢山いるはずだ。

変わったところでは、「サービス業の人に対する態度を見たら」という提案があった。他人を見下すタイプに限って.. というのが理由らしい。はたしてどれくらい暴力性と関連があるか分からないが、これは少し気になった。というのは、レストランで、デパートで、いろいろな場所で、偉そうにする客  (女性も含めて) を帰国以来よく見かけるからだ。

彼らは一体何をそんなに威張っているのだろう? 日本人は、おしなべて大人しくて礼儀正しいのに。階級社会でないぶん、お客様という「神様」になったとたん偉そうに振る舞う権利を得たと考えているのだろうか。つまりこれは、過剰な接客サービスのせいなのだろうか。

米国ではおよそすべてのことがフランクだが、接客も例外ではなく、他の多くの国と同様、レストランやホテルなどではチップという制度があることでようやく最低限のサービスが保証されている、そんな状態だ。不快な思いをすることがままあるが、それに慣れきってしまうと、今度は日本流の対応に困惑する。現在私は、近所のコンビニに行く度に「電池買っただけのオレにそんなに頭を下げないでくれ」などと心の中で叫びながら、きちんと揃えてくれたビニール袋の取っ手に指を通している。

「でも、心のこもっていないサービスも多いですよね」とは先の女性。確かに一見丁寧な客サービスも、マニュアルを踏襲しているだけでは妙に冷たくなり逆効果だ。そこが接客の難しさであり、やりがいなのだろうけど。

結局、客として我々は、チップがあろうとなかろうと、いいサービスに対しては「いいね」というシグナルを言葉と態度で示して、ダメなものにはダメ出しをするというごく当たり前の対人コミュニケーションを図ればいいわけで、お金を落とすからといって傲慢に振る舞う必要なんか全くない。

ちなみに私見だけど、どんな状況にあっても、やたらエバるような男に大した人物はいない。だから彼女は、候補者とのデートにはサービスが最悪なレストランを探してきて敢えてそこに行くべきかもしれない。食事のムードは悪くなっても、何か分かることがありそうだ。

 

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