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暮らしてみたアメリカのこと。留守にしていた日本のこと。

2015-01-01から1年間の記事一覧

あの交差点を守れ

最近まで渋谷に通勤していた。同僚の中には「若者の街」の喧噪を嫌う者が多かったけれど、私には楽しい風景だった。 自分の住んでいる街にやたら老人が多いので、若い者たちが戯れるのを見てほっとしていたのかもしれない。 スクランブル交差点を渡るのも嫌…

香港日記

Day 1 出張で初めて香港へ。キャセイ・パシフィックという航空会社を使った。ほぼ中央に座っていたけれど、反対の通路からアプローチされている隣の人には「チキン」か「フィッシュ」のチョイスも「赤ワイン」か「白ワイン」のチョイスもあったのに、「フィ…

ハロー、アゲイン

「何となくスゴそうな国から、何となくバカそうな国になってしまった」 アメリカという国を評してこう表現したのは、確か評論家の内田樹だった。その文章が書かれたのは10数年も前の話だ。 私がその本を手にとったのは3年ほど前のことで、場所はアメリカの…

The Things I Carried

アメリカで働いているとき、カメラのバッグに常備している紙きれがふたつあった。 ひとつは抗議の文言。公であるべき集まりから閉めだされそうになったとき、その場できちんと抗議できるように、例文を持ち歩いていた。 「議長 (あるいは裁判長) 殿。この場…

ふたりの花嫁

気がつくと、目の前で花嫁が歌っていた。 テレビの前で寝落ちしていたのだが、画面の中の女はスポットライトを浴びて熱唱していて、なぜかド派手なウェディングドレスを着ている。浜崎あゆみという歌手らしい。 純白のドレスを身に纏ってロックンロールを歌…

Mr. プレジデント!(2)

急な動きをしない。これはアメリカの大統領、副大統領、そして彼らの家族を取材するときの鉄則だ。 同僚のジェフ・ウィルキンソンは、そのことを忘れていたらしい。当時の副大統領夫人、ティッパー・ゴアのインタビューを終えた後、聞き忘れた質問があること…

Mr. プレジデント!(1)

3人のアメリカ大統領にそれぞれ一度づつ、手を伸ばせば触れられる距離まで近づいたことがある。言葉を交わしたわけではなく、大勢いた取り巻きの一人だったけれど、どの時も深く印象に残っている。 ビル・クリントンは現役中から「ブラック・プレジデント」…

別れの流儀

早朝の渋谷には、平日でも朝帰りの若者がたくさんいる。週末になるとその数はさらに増える。 飲み明かした10代、20代が集団で駅へ向かう光景はなかなかだ。「楽しかったんだろうな」と思わせる者がいる一方で、完全に酔いつぶれていて「大丈夫か?」と余計な…

マリー・エレン・マーク (写真について 5)

先月の末、マリー・エレン・マークが亡くなった。その死を海外メディアは一斉に伝えた。こんな扱いを受ける写真家は世界に何人いるだろうか。彼女が指折りだった証拠だ。 私は彼女に一度会ったことがある。そして思いきり睨まれた。 アメリカ・メーン州のロ…

サン・キル・ムーンに逢えた夜

「俺の新しいアルバムのどこがいいんだ?教えてくれ」 サン・キル・ムーンことマーク・コズレックがステージの上から尋ねた。 一瞬の沈黙の後、"Honest! (正直なところ)" と誰かが叫ぶ。 そこに "Brutally. (痛々しいほどに)" と付け加えたかったが、私に大…

Happiness Is A Warm Gun

先日、見たくないものを目撃した。 近所の大通りを駅に向かっていると、目の前をゆっくりと歩いているお婆さんがいた。傍らには孫娘らしきよちよち歩きの年の頃3、4歳の女の子。すると、ふたりの横に一台の業務用トラックが信号待ちのため停まった。助手席…

皆殺しのバラード

街角で見かけたポスターのタイトルだ。落ち窪んだ眼をした白髪混じりの男が歌っている。あるミュージシャンのドキュメンタリー映画だという。 私はそこで初めて山口富士男の死を知った。 1960年代の「ザ・ダイナマイツ」、70代の「村八分」、そして80年代の…

ラフォーレで健診

東新宿の小綺麗なビルに到着すると、ロビーには出迎えがいた。 スーツを着た女性は、私の来訪の目的を確認しながら素早くエレベーターのボタンに手を伸ばした。エレベーターの降下を待つ間、彼女は少し離れたところで半身に構えていた。話しかけたら機敏に対…

偏向報道と私の偏見

兵庫県西宮市の今村岳司市長が発表した、偏向報道への対策が議論を呼んでいる。 今後メディアの取材を受けるときは、市の職員もその様子をビデオで撮影をするという。そして、報道が偏っていると市が判断した場合は、その特定の報道機関の取材には一切応じな…

ファーガソンについて

ひと月ほど前、黒人少年を射殺した白人警察官がアメリカのミズーリ州で不起訴になり、各地で暴動やデモが起こった。 私の同僚によると、「全米が震撼」というフレーズは日本のメディアで最も多用される見出しのひとつらしいが、この話題にもあちこちで使われ…